遺言執行者とは?

遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ)とは、遺言の内容を正確に実現させるために、必要な手続きなどを行う者です。
遺言執行者は各相続人の代表として、さまざまな手続きを行う権限を有しています。
遺言執行者は基本的に誰がなってもよいのですが、業務内容や権限については、事前に確認が大切です。また、遺言執行者は相続人だけではなく、行政書士、弁護士、司法書士などに選任することも可能です。
遺言によって遺言を執行する人が指定されていないとき、または、指定されていた遺言執行者が辞任した場合は,家庭裁判所は,申立てにより,遺言執行者を選任することができます。
家庭裁判所は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所となります。申立人は、利害関係人(相続人,遺言者の債権者,遺贈を受けた者など)ができます。
「遺言執行者」が指定されている場合には、速やかに、遺言内容と報酬額の確認と進め方を相談しましょう。

三つの相続方法とは?

故人の財産を相続するには、「単純承認」・「限定承認」・「相続放棄」の3つの方法があります。通常、相続は、預貯金や不動産といった故人の金銭的価値のあるプラスの財産(権利)だけでなく、故人が金融機関からお金を借りている場合は、その借金の返済義務(義務)も引き継ぐことになります。
負債がある場合には、相続人はその弁済義務まで引き継ぐことになり、自らが蓄えた預貯金等で返済することになります。
この状況を防ぐため、相続には、その義務の部分を引き継ぐことを拒否できる相続方法が「限定承認」と「相続放棄」です。
 相続する方法を決めるには、相続が発生してから「3ヶ月」という限られた期間内で決めなければなりません。 相続する「相続財産目録」を内容を確認し、「単純承認」・「限定承認」・「相続放棄」のいずれかを決めて、手続きを遅滞なく進めていきましょう。 (被相続人の負債の確認は、調査し確実に行いましょう。)

      
  1. 単純承認 :一切の財産を相続する方法です。
  2. ◆限定承認・相続放棄の手続きをしない場合には、3ヶ月経過した時点で、「単純承認」してことになります。
      
  3. 限定承認:プラス財産の範囲内でマイナス財産を相続する方法です。
  4. ◆相続人全員(連名)が家庭裁判所に「限定承認の申立書」と「遺産目録」の手続きが必要です。
      
  5. 相続放棄:一切の財産を放棄して相続しない方法です。
  6. ◆各相続人が個別に家庭裁判所に「相続放棄申述書」の手続きが必要です。(相続放棄は「相続人本人」のみで、相続人の子は相続放棄には含まれません。)

相続人の範囲とは?

相続人の範囲は、「法定相続人」となります。

法定相続人(ほうていそうぞくにん)とは、民法が「相続の際に遺産を受け取れる権利がある人」と認めている一定の相続人のことをいい、被相続人の血縁者を4つの順位(配偶者/子/親や祖父母/兄弟姉妹)に分けて相続の際の優先順位を決めています。

◆被相続人の法律上の配偶者は、常に法定相続人になります。この配偶者と一緒に法定相続人になれるのは残りの3つの順位の血縁者のうち最も順位が高い第1順位のみです。
※第1順位がいない場合に、次の第2順位の相続人となります。
上の順位の法定相続人がいる場合には、下の順位の人は法定相続人になれません。
法定相続人は、配偶者と子、配偶者と両親、配偶者と兄弟姉妹という組合せになります。

◆配偶者とともに相続人になるのは、第1順位の法定相続人は「子」です。ちなみに、前妻、前夫との間の子供も「法定相続人」の「子」です。離婚をすれば、前妻・前夫は他人なので相続権はありませんが、血を分けた子はずっと相続権をもっています。

本来、遺産を相続するはずだった子が先に亡くなってしまっている場合には、その相続する権利は孫に引き継がれます。
これを「代襲相続」(だいしゅうそうぞく)といいます。 なお、相続権は孫には引き継がれますが、子の妻には引き継がれません。(この妻は法定相続人ではありません。)子がいない場合には、第2順位の法定相続人は「父母」「祖父母」に進みます。

子も父母もいない場合には、第3順位に進みます。第3順位の法定相続人は「兄弟姉妹」です。それぞれの順位によって、民法の定める遺産の法定相続分が異なります。
なお、第3位の兄弟姉妹が法定相続人になった場合、既に相続が始まった時点で亡くなっている場合には、兄弟姉妹の子(被相続人からみると「甥」・「姪」が代襲相続人となります。なお、甥・姪の子は代襲相続人にはなれません。

法定相続人の留意事項とは?

◆被相続人の配偶者とは?
被相続人の配偶者とは、内縁関係や事実婚等、戸籍上の配偶者となっていない場合には、法定相続人にはなれません。
また、離婚をした場合には、元夫、元妻は相続人にはなれません。なお、法定相続人になるには、婚姻期間の長短は関係ありません。(結婚して、すぐに相続が発生しても、法定相続人の配偶者として、遺産を相続する権利は発生します。)