相続した実家の売却について、「家が古く、賃貸も売却も難しいため、家を解体し、更地にして、売却したいけど、どうすればいいか」のご相談が少なくありません。
家屋を解体して更地で売却する場合、知っておきたいことは、次のとおりです。
1 家の解体費用
家屋の解体費用の相場は、家の構造によって異なります。木造など壊しやすい住宅は比較的安く、鉄骨造りやRC造(鉄筋コンクリート造)など壊しにくい住宅は高くなる傾向です。
道路幅や近隣との距離や立地環境や付随追加工事の有無などに応じて、解体費用は変動しますが、目安は、木造3~5万円/坪、鉄骨造は4~7万円、RC造は6~8万円です。
解体費用の増減に影響する要素は、①構造、②立地、③付随工事、④解体業者の選定の各事項です。
(1)構造
木造、鉄骨、RCなど建物の構造に加え、平屋や2F建など、家屋の階数によって解体費用が変動します。
同じ坪数であれば、平屋より2階建の方が、屋根や基礎が1階にしかないため、作業時間も重機の使用時間も少なく済むことから、解体費用は安くなります。
また、地下室(半地下含む)がある場合には、特殊な重機や埋め戻しの作業と真砂土が必要になるため、解体費用は、目安以上に加算され、高くなります。
(2)立地
家屋の立地条件も解体費用に大きく影響します。特に、住宅密集地帯で接している前面道路が狭く、重機も入れない場所であれば、解体が手作業となり作業時間も手間もかかるため、また、足場・養生防音シートの設置や交通整理・安全確保等ために人員も必要となることから、解体費用は割増しとなります。
(3)付随工事費用
古い家屋には、有害物質であるアスベスト(岩綿)が使用されていることが多く、解体作業は特別な工程での作業となり、加えて、有害廃棄物は特別処理のため、解体費用は上乗せとなります。
また、樹木やカーポート、コンクリート等による井戸・浄化槽・外構壁等の構築物があれば、解体撤去費用は別途必要となります。
(4)解体業者
解体業者によっても、繁忙期・閑散期の時期によっても、解体費は異なりますので、複数の解体業者から見積りをとって、その内容を検討する必要があります。
2 家屋を解体して更地で売却するメリットとデメリット
築40年以上経過している家屋は、家に価値がないとして、土地値で売買されることになります。「古家付き土地」として売却しますが、買い手は個人ではなく、不動産会社等の業者の場合がほとんどです。
住宅用地を求めている業者にとっては、古家付き土地の方が更地となった住宅用地を求めるより、相場より安く購入でき、業者価格での解体・更地で費用が抑えられ、結果として、住宅用地が安く確保できるためです。
相続した所有者からみると、「古家付き土地」で売るのではなく、「更地」にしての売却はメリットが大きく、一般消費者の買い手がつきやすく、早期売却が可能となります。
一方、更地として売却する場合、デメリットは、①解体費用を売却価格に上乗せできない場合もあり、また、②建物を取り壊すと建物の滅失登記(30日以内)が義務付けされており、建物がなくなった場合には「小規模住宅用地の特例(200㎡以下の部分が固定資産税は登録価格の1/6の優遇措置)が適用されないため、土地の固定資産税が6倍に増額されます。
土地と建物を併せた固定資産税が前年と比べて、3~4倍になることも少なくありません。
更地にして、30日以内に売却できれば、実質的な負担はありませんが、売却まで期間を要する場合には、所有者の負担は大きくなります。
以上、家屋を解体して更地で売却する場合、状況によっては、負担が大きくなりますので、信頼できる不動産会社に相談して、その対処方法を検討する必要があります。
社内に宅地建物取引士・行政書士を配置しており、加えて、土地家屋調査士・司法書士・不動産鑑定士・税理士等との連携体制「ナビ・シグナル不動産の連携ネットワーク:不動産相談センター」を構築しております。相続不動産の売却にあたっては、様々な諸課題をクリアする必要がありますので、当社の「不動産相談センター」をご活用ください。